月並みだが,まず研究所が所在するジュネーブ市から紹介する. と言っても,ジュネーブへはほとんど出ないので, ガイドブック等をもっぱらの参考とする(出典明示は略する).
人口は17万人.ジュネーブ州の州都.スイスの一番西にあり, 3方をフランスに囲まれている.いろいろな国際機関が集まって いて,国際都市として有名.(後述するように,ここは英語すら ろくに通じなく,「何が国際都市だ!」と思わぬ訳でもないが, まあそこは素直にガイドブックに従って,国際都市と紹介して おく.)
緯度は約北緯46度13分(研究所のあたりは同15分).札幌は北緯 43度05分,日本の最北端の宗谷岬でも北緯45度31分だから,これ よりまだ北にある.しかし,気候は温暖で,ここに来る前に学会 でアムステルダム(オランダ)へ立ち寄ったが,そこは約北緯 53度で,さすがにその寒さには震え上がってしまった.それと 比べると,ここの8月はちょうどよい暖かさで,過ごしやすい. 8月のお盆を過ぎた一時期ちょっとポカポカ陽気で,さすがに ジャケットは脱いだ.しかし,長袖のシャツは離せない.(当然 のことだが,ホテルでも研究所でも,そもそも冷房施設というもの がない.きっと,スイスの辞書には「暑い」という単語が載って いないに違いない.) 私が帰国したのは,10月の初めだが,もう9月の終わり頃から, 公共機関の乗り物(バス・列車)には暖房が入っていた.
山国のイメージを持っていたが,実際にはジュネーブ市街でも 標高370mくらい,研究所のところでも450mくらいである.たいした 標高ではない.静岡市は南アルプスの一部を含むので,静岡市の 最高標高点はこれよりずっと高いことになる.
ジュネーブ中央駅(コルナヴァン駅)
レマン湖
市庁舎に展示されている古い大砲
これらの写真は新市街のものだが,旧市街となるとまたその雰囲気が 変わる.
旧市街にある教会(サン・ピエール大聖堂) (02/08/15)
大聖堂の内部
塔の上からの旧市街の風景
街には新鮮な果物屋さんも (撮影 02/10/05)
ジュネーブの目玉に,国際連合のヨーロッバ本部があることが 挙げられる.これは,写真も多いので,別のページに表示することとしよう.
クラッシックカー博物館 (02/09/14)
研究所の近くの村(Russin)でワイン祭りが行われるということなので, 早速出かけてみた.観光客目あてのお祭りではなく,あくまで, 村人達のためのお祭り.とても楽しめた.写真は別ページに掲げる.
スイスとはなんとも奇妙な国である.九州ほどの大きさの土地に, 全く言語の異なる人々が暮らして連邦国家を形成している. そして,各々の人々は,自分の地域の言語しか話さない. 4つの公用語(ドイツ語,フランス語,イタリア語,ロマンシュ語) が定められていながら,学校では,その地域の言語 しか教えない.複数の言語を話せるのは,国鉄職員など,ごく 限られた職業の人たちだけである.それなのに, どうして言語の異なる人々が1つの国家を形成できるのであろうか? 同じ言語の国ですら,いろいろもめ事があると言うのに! 独立騒ぎは起こらないのであろうか?
この答えはどうやら彼らが歩んできた苦難の歴史が関係している らしい.(しかし,ここでは歴史の解説は略す.)
スイスと言えば,「アルプスの少女」でお馴染みののどかな牧歌的風景の 平和国家がイメージされる. むろん,実際,平和な国ではあるが,それはそれなりの努力を払っての ことである.この国の重要産業は,ミサイルなど軍需産業である. (むろん,医薬品工業も盛ん.)スイスはは国民皆兵. 40歳代になってもまだ兵役の義務がある(42歳までと,ものの本には 書いてあった). 金曜日夕方にはジュネーブ中央駅で自宅に帰る若者を多く見た. 軍服はそれそれ異なっていた.どのような区別があるのか は知らない.しかし,皆,一様に銃を持っているのには驚いた. 武器は個人持ちらしい.スイス人の愛国心は有名である.
確かに,一方で,観光産業を売り物にしている. しかし,スイス人の「よそ者嫌い」は有名である. 日本人観光客は,実は自分たちが警戒され,嫌われている ということを,ご存じなのであろうか.
スイス人はともかく几帳面である.(だから融通がきかない?) バスに乗るには事前に自動販売機で切符を買う.バスの中では 一切の検札はないし,降りるときに切符の提示も必要がない. しかし,それでも人々は必ず切符を買う. 一度,私が見た光景で,あるとき,急いでやって来た乗客が 切符を買うのに間に合わなくて,そのままバスに飛び乗った. しかし,彼は,次の駅でバスが停車したとき素早く降りて, そこの自動販売機で切符を買って,再び乗り込んで来た. (抜き打ち検札があるからそれでルールを守るのだと,解説して くれた日本人もいたが,私はそうは思わない.彼らは,検札が なくても,ルールはルールとして守るのだ!)
私にとっては,この国は謎の多い国である. 短期の滞在ではとうてい理解しきれない.