要旨

日本酒は弥生時代の「口噛み酒」から始まり, 現在では世界で類をみない高い醸造技術を持つほどまで成長した。 一方日本酒消費量は減少の一途をたどっている。 しかしその日本酒消費量の大半が日本国内での消費であり, それは世界にまだ多くの市場が残されていることを示している。  本研究は「日本酒の海外での現状を知りたい」という目的から始まる。 その手順として第1章で日本酒とはどういうものなのかを紹介する。 第2章では日本酒消費量の推移等から日本酒業界の現状を調査する。 第3章では日本酒の各国への輸出量・金額の推移から現状把握と共に, 輸出の実例を調査する。第4章では日本酒輸出と大きく関わると思われる 清酒の外国生産についてと外国産清酒の輸入についての現状を調査する。 第5章では日本酒の輸出量の多い国・少ない国にどのような要因があるのかを 仮説をたて分析する。第6章では第5章の結果を基に,外国人消費量を算出する。 第7章では以上のまとめとして,本研究で得られた成果を示す。  第2章,第3章,第4章の現状把握の主な結果は以下の通りであった。 (a)日本酒消費量・日本酒生産業者数が右肩下がりで減少している。 (b)1990年から2001年までの日本酒輸出量・金額の国別推移からアメリカ, 台湾,香港が輸出の大半をしめており,その合計は輸出量全体の67%を占めている。 また日本での生産量の99.3%が日本で消費しており,残りの0.7%が海外での消費 となっている。(c)アメリカ,シンガポール等は一升平均輸出価格が上がっており, 高品質の日本酒が求められ始めている。(d)一升価格200〜300円程度の清酒が海外 で生産されており,清酒の輸入は90年代後半から主に始まったばかりで,今後伸びる 可能性を秘めている。  これらの現状把握から第5章では,輸出量と在留日本人数との間に因果関係がある という仮設を基に回帰分析を行った。その結果,清酒生産国のないEUだけでの 回帰分析を行った結果から輸出量と在留邦人数との間には大きな因果関係があった。 このことからEUでは在留邦人が多い国に日本酒輸出量が多いことが分かった。  次に第6章では外国人消費量を算出した結果から,輸出量と外国人消費量 (当該国の日本酒消費量から,在留邦人の消費量を除いた量)で回帰分析を行った。 その結果から外国人消費量と在留邦人数との間には因果関係はみられなかった。  本研究から日本酒の輸出の現状把握と共に,輸出量からでは分からない 日本酒人気を外国人消費量から分析することができた。またEUでは日本酒輸出量 の大小は在留邦人数と関わっていることを結論付けることができた。 しかし在留邦人数が多い国ほど,外国人消費量が多くなるとは限らない。 よって今後日本酒人気を上げるためにはただ在留邦人数を増やせば良いということで はなく,輸出する企業の努力,現地でのしっかりとした基盤作りを行わなければならな い。 目次

目次

第3章 日本酒の輸出についての現状 第4章 グループ別共通点 第5章 日本酒輸出量の大小の理由 仮説を基に 第6章 海外における日本酒消費量の分析 第7章 海外における日本酒消費量の分析