物理学と方法 B (量子の世界)
20 世紀に入って,光は,あるときは「波」またあるときは「粒子」として振舞うということがわかってきた.しかし,「波」と「粒子」とは,本来両立しない物理的概念である.この謎は,「量子力学」というものが完成されるにおよんで,ようやく解決を見た.あのアインシュタインですら最後までそれを理解することを否定し,しかし,現在では全ての物理学の根底をなす基本思想として受け入れられている「量子力学」とは何か.量子力学完成に至るまでの歴史的に登場してきた奇妙な実験事実や仮説を紹介しながら,量子力学の考え方を解説する.
ただし,量子力学の体系的な修得は半期の授業ではとうてい無理であり,この授業では量子力学が古典物理学といかに異なった考えに立っているかを理解してもらうことを目的とする.体系的な量子力学修得を望なら,薬学部専門科目として開設されている量子力学関連科目を受講することをお勧めする.
1. 光の粒子説と波動説 (古典物理学における光)
2. 光の粒子説の復活? (アインシュタインの光量子仮説)
3. 原子模型の進展 (ボーア理論と原子スペクトル)
4. 古典力学からの決別 (ハイゼンベルクの不確定性関係)
5. 量子力学とは? (新しい自然観・自然認識の誕生)
原則として期末テストによる.また,授業中のミニテストをも参考とする.
数学的予備知識としてできれば微分の初歩 (x^n の微分程度) を知っていることが望ましい.