(Updated: 2011.12.31)
2011年は,素粒子関係の実験的報告にまつわる話題が,
いろいろマスコミの方々に取り上げていただいた.
このような分野も一般の人々が関心を持ってくれるように
なったということなので,それ自体は大変喜ばしいことと思う.
しかし,このような分野の話題はマスコミの方々には慣れない話題なので,
かなり不正確な取り上げ方がなされることが多かったように思う.
一般に,実験家の方々は,実験結果の報告についてはとても
慎重は言葉使いをする.例えば,ある観測値が5シグマ(「シグマ」
は簡単に言えば,その実験における誤差の大きさ)を超えるとはじめて
「discovery(発見)」という単語を使う.
3シグマでは,「evidence(兆候とでも訳すべきか)」を観測した
と称する.2シグマ以下では,そもそも何も発言・報告はしない.
今年の12月にも,質量の起源を与える「ヒグス粒子」が発見された
とか何とかといった話題で,マスコミが大きく取り上げて,
一部の新聞社では「発見された」とすら報道していたように思う.
(NHKでは「発見へ向けての前進が見られた」という良識ある
報道を行っていたが,一般に人には却ってこれでは何を言っているのか
分からなかったであろう.)
お上の方(欧州の)からの圧力によってとはいえ,ほとんど公表できる
データーもそろっていない段階での記者会見は,実験屋さんにとっては,
辛い会見であったことであろう.
ヒグス騒ぎに反して,このタイトルに掲げた,ニュートリノの速度の
測定の話は,ヒグス探しのように,欧州の威信を賭けての大事業と
言うわけでもなく,まじめな,しかしあまり陽の当たらない実験の報告である.
しかし,この話題は広範囲の方々の関心を引いたらしく,物理以外の方々からも
私はいろいろ質問を受けた.
私は,この実験や理論についての専門家ではないので,
本格的な解説は,当の実験グループ(OPERA)の
Web を見ていただくこととして,ここでは簡単に個人的な感想・コメントを
述べておきたい.
もっと話題になっているときに,一言書くべきであったが,
何しろ忙しくて,そんなことに時間を割く暇がなかった.
除夜の鐘まで間もなくであるが,ようやく空き時間が生じたので,
この際,いささかタイミングを失してはいるのだが,遅ればせながら,
以下にコメントを書きたい.
(なんとか,除夜の鐘直前にこの原稿を書き終えた.まだ,ミスタイプが
多いと思うが,時間切れなので,これでアップロードする.)
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