自然システム I (高エネルギー物理学)
経営情報学部の学生にとって,物理学や化学,生物学の各個別知識の不足はなんら恥ではない.しかし,「自然科学」を正当に評価し,正しい展望を持ち,そして的確にそれに対応できないようでは,現代におけるビジネスパーソンあるいは経営人としては失格である.理工系学部出身者と同じ土俵で相撲を取ろうと考えることはバカげている.諸君は,将来,彼ら理工系学部出身者を手足のように使い,彼らの頂点に立たねばならない立場にある.個別科学の先鋭化された知識しか身につけていない彼らの弱点をカバーすべく,もっと広い視野から「自然科学とは何か」ということを正しく把握することに努めなければならない.
このような観点から,この授業は,一例として,巨大科学と言われている「高エネルギー物理学」での自然科学活動の実情 (内幕) を紹介し,現代自然科学における様々の問題を考察して行く.
1. 1974 年:新粒子の発見
巨大加速器建設競争の始まり:研究情報入手戦の実態
2. 第 4 番目のクォークは誰が予想したか?
なぜ日本人の研究は無視されたか?:理論的研究が認知される条件
3. 1977 年:クォークは発見されたか?
それを信じたい人と信じたくない人:実験的発見が認知される条件
4. 1994 年:第 6 番目のクォークの発見
増加するクォークとレプトン:どこまで続く巨大加速器建設競争