系(システム)の動的振る舞いを,エネルギーの観点から 解析するテクニック「ハミルトンの方法」を学ぶ. ラグランジアン形式および ハミルトニアン形式での系の記述の技法を学び,それを用いてのモデル考察を行う. ラグランジアン形式およびハミルトニアン形式での系の記述は,もともとは物理学で 「解析力学」として知られていたものである.従来の力学では,システムに働く 「力」について考察し,それをニュートンの運動の方程式に代入することによって, システムの運動(時間的変動,等)を求めていた.これに対して,解析力学では ハミルトニアン(Hamiltonian)なるシステムのエネルギー状態を表す量を考察し, それによってシステムの運動を議論する.この方式では,従来のニュートンの 運動方程式に登場した座標 (x,y,z) に代わり,座標は「一般化座標」と呼ばれる ものが用いられる.従って,物理学では,この方程式は力学だけにとどまらず, 電磁気現象やもっといろいろの現象に適用されている.おそらく,社会・経済現象 の分析においても,極めて有用と思われる.
また,この技法は,「力」よりは 「エネルギー」が主役となるので,経営システムや社会システムに対して、 「エネルギーのやりとり」という観点からのモデル分析ができるようになり, より直感的な考察に結びつけることが可能となる.数量的なモデルの取り扱いとしては, やや高度な内容であるが,取り組んでみる価値はあると言える.
この技法を応用した課題研究の成果によって評価する.
プリント配布 ( 2005年度講義ノートメモ 参照 )