毎日がパズルの連続だ!
―素粒子物理学の現場より―

経営情報学部 小出 義夫
1999年度(第13回)静岡県立大学公開講座
静岡県立大学会場(経営情報学部)第4日目
時:1999年7月27日(火)14:00〜16;00
場所:静岡県立大学看護学部棟 13215教室

要旨


講義録


あとがき


要旨

毎日がパズルの連続だ!

--- 素粒子物理学研究の現場より ---

小出 義夫 (こいで よしお) 経営情報学部教授

1942年石川県金沢市生まれ.広島大学大学院理学研究科博士課程修了. 理学博士.米国メリーランド大学物理・天文学部客員教授,静岡県立大学 国際関係学部教授を経て,現職.
担当科目:自然システム I (高エネルギー物理学),自然システム II (エネルギー形態基礎),エネルギー形態 I, II,物理環境システム特論 (大学院),エネルギー形態基礎特論(大学院)
主な著書:``Asymptotic Symmetry and its Implication in Elementary Particle Physics", World Scientific Pub. , 1991.
主な論文:``On the two-body bound state problem of Dirac particles", Progress of Theoretical Physics(日本物理学会),1968; ``New formula of the Cabibbo angle and composite quarks", Physical Review Letters(アメリカ物理学会), 1981; ``New view of quarks and lepton mass hierarchy", Physical Review D (アメリカ物理学会), 1983; ``Top-quark-mass enhancement on a seesaw-type quark mass matrix", Zeit Schrift f\"{u}r Physik (Springer-Verlarg, 独),1996; ``Universal seesaw mass matrix model with three light pseudo Dirac neutrinos", Physical Review D (アメリカ物理学会), 1999; 他多数.

はじめに

素粒子物理学の現状と課題を紹介する目的で,以下のような書き出しで 始まる講義ノートを配布し,クイズ形式での講義を試みた.

物理学研究者にとっては,毎日がパズルの連続である. 自然界には,分かっていることより,分かっていないことの 方がはるかに多い.1つの謎が解けると,そこにまた 今まで見えなかった新たな謎が見えてくる. 物理学者は,毎日をわくわくしながら,これらの謎に取り組み, そしてしばしば思い切ったギャンブル(仮説の提唱)を行う. 物理学研究という仕事は,一度味わってしまうと もう止めることのできない快楽の極地である. その楽しみの一端を皆さんにも味わってもらいたいと考え, 「素粒子物理学」研究の中から,過去に謎と言われたトピックス (すでに解かれている),および,現在も謎と言われている トピックスについて,そのいくつかを紹介しよう. 話を聞くだけでなく,一緒に考えてみて欲しい.

目次


あとがき
謝辞と反省

猛暑の折にもかかわらず,このような話題に関心を持ってお集まり 頂いた皆様に深く感謝いたします.
物理学研究のおもしろさとは,ある問題(謎)を何回もあるいは何カ月も 考え続けていて,ある日突然,その解答に思いついたときにある. それを,わずか2時間の講座の中で味わってもらおうなどと(しかも, 1つの問題を考えてもらう時間はわずか10分!)全く無茶な企画 であり,この点は深く反省しています.もっと話題をしぼって, ゆったりとした時間をとるべきでした.
 しかし,出席者の皆様には,与えられたわずかの時間にもかかわらず, 真剣に問題に取り組んでいただき,大変うれしく思いました.しかも, 正解は無理との予想に反して,数名の方が正解にたどり着けたことは 全く感服するばかりです.
 今回出題したパズルは,すでに歴史的に解決ずみのものであり,答が 用意されているものでした.それで,「正解」を誘導するような余計な ヒントを申し上げたばかりに,かえって,せっかく,既存の枠に とらわれない新しい可能性を持ったユニークな「回答」が出てくる芽を つんでしまったかもしれません.もっともっと,「用意された正解」 とは異なる奇想天外な回答があってもよかったと思っています.これも 反省の1つです.

パズル正解者一覧(敬称略)

用意されたパズル(講義録参照)の内,時間の関係から,はじめの2つしか 取り組んでもらうことはできなかった.

(1)クォークの量子数(配列)

正解(クォークモデルレベル)

準正解(サカタモデルレベル) (2)カラー理論

正解

準正解(説明が不十分)
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小出義夫:koide@u-shizuoka-ken.ac.jp

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